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片山衣料のブログ

食べログ全国1位のラーメン店の値上げの理由とガラスの天井

2022-05-31
全国ラーメン人気ランキングで1位をとっている飯田商店さんというお店が値上げを発表しましたが、その理由がニュースになっていました。値上げについては個人店もチェーン店も原材料価格の高騰があるのでこのご時世当たり前、というかしかたないとは思いますが、飯田商店さんでは
『理由は原材料の価格高騰ではなく、未来のラーメンのことを自分なりに考え出した結果です』
ということをツイッターで掲載されています。

原材料と製造にかかるコストに適切な利益を乗せて価格を出す、ではなく価値ベースで価格を出していくという事例なのかな?と、とても興味深い内容だと思います。ラーメンは1,000円以内という相場感があるみたいですが、制服の場合もやはり相場感があって、どんな凝った仕様の制服でも凝った分の価格を金額に乗せるのを選定者の先生方に理解・納得していただくのが難しいことがあります。
結局よく聞くのが、「制服の仕様は変えますが価格は据え置きでないと保護者が納得しません」という結論で、大手さんでは、販売店への卸価格の調整で補填です。もちろん当社でもそうせざるを得ないのですが、大手資本と比べてゴリ押しできるわけでもありません。そういうことで地元販売店は、ただでさえ少子化でパイが減っている所に学校別注とLGBT対応でより在庫負担が大きくなり、そこに上げにくい販売価格のため利益幅の削減と実はトリプルパンチなんですね。

それじゃあメーカー側は大丈夫かというとそんなこともなく、販売店がそういった事情で在庫を絞ってくるので小ロット多品種の本番注文が多くなって、現場は色々混乱します。今回大幅遅延もありましたし。他にも例えばセーラー服1着製造するのに表地が上着1.6mくらいですが、その表地は一反50m乱(最近は58mとか多い)なので30着強製造できる分だけの原材料の仕入れが必要です(別注生地は複数反の発注が必須)。
その生地が学校ごと別柄になっていってるのでそれぞれ在庫が必要になって、小ロット多品種化で原材料倉庫がいっぱいです。本来はそういうのも加味して積算するべきなんですが、最終的な価格ありきでは厳しいところがあります、、、というのを理解を示してくれる先生は稀です。ブレザーのデザイン変更であればそんなに大きく価格変動はないですが、詰襟学生服とセーラー服から学校別注のブレザーに変更するのに上で書いたように

「なんで制服のデザイン変えるだけでそんなに高くなるの??購入する保護者のことを考えてください」

とよく言われます。既存制服積算時の原材料価格や輸送費、人件費はもちろん、要尺も工程も付属もロット数も(詰襟は全国共通、セーラーも地域共通が多いのでロット数は特に)全然違うんですけどね。。

この飯田商店さんの場合は、自分で企画した商品を自分で作って、原価ベースでなく自分の考える商品の価値をエンドユーザーに示して支払っていただくようお願いできているのがすごい羨ましいと思います。制服は学校の規格(自社提案が採用の場合もありますが)で作って、世間的に求められる価格までコストダウンですから。
それでもその価格が世界的大手アパレルの量販品と比べて高い!と叩かれます。
制服業界ばかりではなくて、多くの産業で同じような構造はあると思いますが、この商品はこのくらいの価値という既成概念的なガラスの天井を突破していく、こういうものづくりをしてみたいです。それが学校制服というプロダクトで実現させることなのか、また別の新たなプロダクトなのかはわかりませんが。
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