本文へ移動

片山衣料のブログ

セーラー服の価格差、学校間で最大6万円!?

2024-02-26
今朝のヤフーニュース(読売が元ネタみたいですが)で
セーラー服の価格差、学校間で最大6万円…公立中高の制服調査した公取委「少しでも安価に供給を」
ってのが出てました。
なぜモデルチェンジが進み淘汰されつつあるセーラー服がやり玉に!?というのが第一感想です。

なお税込み表記だとは思いますが72,000円は高いですね。当社のセーラーを販売しているお店の倍以上です。
私立含めセーラー服の上下?でこの価格は高い(羨ましい)。。当社にて、やたらと大きめで多色使用の刺繍をネクタイ止めに1つ、後ろ襟に2つつけてポケットも貼りポケットではなくて両玉縁仕様の製造原価が高い学校のセーラーも取り扱っていますが店頭小売価格は30,000円台です。
テーラー並みに採寸し、一から型紙起こしのフルオーダーをしているのか、ニッケの最高級生地『GOLDEN MAF(R)(ゴールデン・マフ)』みたいな生地を使っているのか(ゴールデン・マフだと逆に安すぎますが...)製造原価が高いというならその仕様が気になります。

次に安いほう、12,000円で上下だと製造原価割れしていると思うんですが…。ただし当社のような製造工場が直売で上着のみであれば最安値は可能、もしくは相当安価な素材使用であれば可能です。ただ販売店が売ってるとして卸の場合だと利益はなく赤字の計算です。どれだけ縫製を安く見積もっているの?と嫌な気分に。
実際は……ジェンダーフリー対応として既存の詰襟セーラーに第3の制服としてブレザー制服が追加になって、数年回してみてブレザーに注文が集中するので在庫品のセーラーは安くして売りきって販売終了にするってことでしょうか?これならば、在庫処分的で実際ありそうな金額とシチュエーションとは思います。

ということで記事の元ネタの公正取引委員会のページで探してみました。
出てきたのは学校制服の取引実態に関する事後検証報告書でこれが元ネタかな?と思います。ささっと見た限り72,000円と書いてないと思うので、新聞記事は公取に詳細を聞いたのかな?。公取に聞けば教えてくれるかもですが、とりあえずあとはニッケさんに70,000円のセーラー売ってる地域のことを聞くまでにしておきます。

まあそれよりも、今後物価高で制服は確実に価格は上がります。各メーカー大幅に利益が削られているので令和7年度はどのメーカーも15%以上は価格改定するかも?と言われています。それもこれもジェンダーフリーの対応で小ロット多品種が進んでいるのと原材料&人件費高騰だけど生徒数減のヘビー級のラッシュが原因です。
当社所在の静岡市清水区を見ると十数校の公立中学校全てが独自デザインにモデルチェンジしましたので、在庫リスクも十数倍。地元販売店ではジリ貧で自分の代でおしまいというところもあります(先日相談受けた)。

なので公立学校単体で独自仕様を決める風潮を改めてほしいと思います。アパレル大手が参入してこないのは、そもそも今の商売と比較して旨みがないからでしょうし、既存のメーカーにとっても今の小ロット多品種なのに低価格を短納期で!は持続可能じゃないと感じています。
そういえば昔とある地域のセーラーが、SML表記のサイズなんですけど着丈が1cmピッチで5展開、袖も6展開のすごい細かく発注してくる販売店があって1校なのに210サイズパターン作り分けてたのを思い出しました。数十年の取引実績でしたがさすがに大変なので数年前に断っています。

あのお店のセーラーの小売価格もスカートとセットで30,000円台でした。
『サイズはたくさん用意して価格も安くしておかないとお客さんに選んでもらえないでしょ!』
と言って値上げのお願いと簡素化を最後まで拒んでいましたね…もう昔の思い出です。

まあサイズ展開はともかく、価格については大抵のお店が他店に売り負けないよう、安価にする傾向が強いので72,000円のセーラーは製造原価が高いのではなく、そこの販売店が地域で1店舗のみ(もしくは組合かな?)で、価格競争が起きない環境だからしっかり(どころじゃない)利益をとっているということなんでしょう。

※ベースサイズ7展開×着丈5展開×袖6展開=210サイズパターンですがそこに足して完全別注もアリ、ちなみにスカートもウエスト1cmピッチ×丈1cmピッチで発注きてたので数百サイズパターン...備蓄できるわけない
TOPへ戻る