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片山衣料のブログ

制服大手3社の決算を見て

2023-10-24
10月17日の繊維ニュースに学校制服業界のトップ3の決算状況が載っていました。
内容ですが…、どこも厳しくなっている感じですね。簡単にまとめると、大手3社は昨今の全国的な制服モデルチェンジでシェアは伸ばしたが利益は大きく減らし、中には経常利益がマイナス99.3%減で赤字転落の会社もある。その理由が原材料等のあらゆるコストの高騰と小ロット多品種化で収益性悪化のため利益率の改善が喫緊の課題、という内容です。

当社のような規模の会社から見ると「そんな無理でしょ、よく大手さんできるね」という感じの事をこれまではしていましたが、やはりきつかったみたいですね。現場レベルで経営者的視点を持っていれば?このまま進めるとマズイ!!と思いそうな気がしますが、ノルマ重視で推し進めての結果なのかもしれません。だって明らかに安価で戦略的な価格をプレゼンで提案し採用されていますし(プレゼンでは参考小売価格を提示しますが、大手さん案を採用する決め手が「価格」の学校があって、採用モデルの参考小売価格を学校から内々に聞いた販売店が「安すぎる!やっていけん!」と怒ること多数)。

制服販売店さんからは、「これだけ細分化されると在庫過多で、アイテム自体も詰襟&セーラー服よりも利幅がごっそり削られてきつい。作るほうは買取で全て送ってくるし儲かるんだろうけどね!」という感じの話をどの地域でもよく聞きますが、現実は作るほうも儲かっていなかったということがこの記事からわかります。
まあ購入者さん側にとってはめちゃくちゃコスパの良い(原価率の高い)制服を購入できたとは言えますが。

製造工場によっては備蓄と本番で卸値変えたりすることもありますが、全面的に価格改定するのはシーズン終了後(衣替えが終わった後の月か9月くらい)のタイミングになります。6月や7月のシーズンオフ期間に決算月を持ってくることが多いですが、その時点で今期は厳しいと予測できたはずでその時点で値上げの案内を出しておかないといけないはずですが、今年は大手さんこのまま耐え忍ぶらしい(販売店さん曰く)です。
全国的にその方針ならば次の決算も大変なことになりそうな気がすると思うんですが。
もちろん当社には思いもつかない秘策があるのかもしれませんが、これまで通りの新規受注では利益率改善にはつながらないことは今回の決算が示していますし、原材料の供給不安もあって原材料を数年分は発注してるとも聞いてます。ただキャッシュは大丈夫でしょうか?新規とればとるほどジリ貧になっていくと思うんですが。

ちなみに当社は耐えずに値上げをお願いしています。周囲が↑の通りなので、全アイテムではないですが。
そのアイテムについても、1年前に値上げ交渉してようやく今回からです。その間にもいくつかの原材料価格は上がってきてる状況のため、もう少しレスポンスの良い改定方法がないかを模索する必要があると思ってます。

ということで、業界として(持続可能な制服を提供するための)値上げが本格化するのは次シーズン以降です。
ただ、現在のような世界危機や時代変化でも乗り越えるピンチに強い収益構造の構築は急務ですね。
こことかここには当社の取り組みや色々考えをまとめていますが、うまく進んでほしいです。
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