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片山衣料のブログ

女子スラックスの普及具合

2022-06-14
当社の取り扱い校でも今年度の新入生分から女子スラックスを導入した学校さんが多くありました。
①ある学校さんは男女同デザインのブレザースタイルのため男子のスラックスを男女兼用に改め、
②ある学校さんは男女別デザインのため女子ジャケットと同じ生地で男子スラックスの型をベースに作り、
③ある学校さんは女子専用型でスラックスを作る
と様々です。

今シーズンもひと段落して昨日はそんな女子スラックス導入校周辺の販売店にあいさつ回りに行ってきました。当社の製品を納入していない販売店さんも含めてです。そこで聞くところによると
「用意したけど1本も売れなかった!」
という声もあれば
「若干出た」
という声もありました。総じて
「出たとこは出たけどこれじゃ収支あってないよね。。」
です。

当社では在庫分以外の本番注文は若干数ですが売れました。備蓄したサイズはほぼ売れず別注ばかりで備蓄在庫がほぼそのまま残っている状況ではありますが…。
それでも10年近く前にとある海風が強く吹く地域の学校で、「登下校中の生徒が寒そうだからスラックス導入したい」ということで製造しましたが数年間1本も売れず…、結局その学校も今は統廃合でなくなってしまってデッドストックだけが残ったという苦い過去から比べると、少しは売れる商品になってきました。
全国的には一校当たり数十本出荷した学校さんもあるようで、地域差もあるでしょうけど今後はもっと購入割合が増えていくのかもしれません。

ちなみに男子と女子は体型差によって、一般的に男子はウエストとヒップ寸の差が少ないが女子はくびれが出てくるので男子スラックスをウエストサイズを参考に女子が穿くとヒップが入らないといったことがあります。
そのために女子用型もあるんですが、大手さんでもあまり専用型導入には積極的でないという意見も聞きます。というのもそもそもアイテムが増えることによっては備蓄しなければいけない商品が増えてきますがかといって生徒数が増えるわけでもなくスカートと一緒に購入する割合もそこまで高くない(純粋に出費額が増えるので)ということと、既存のスラックス工場で男女別仕様縫い分けるのが難しいということで。そういう供給面の観点から②にする高校もあります。

もうひとつ当たり前ですが体格差は別に異性間だけの話ではないです。男子同士でも体格差があって、柔道部の子なんかは太ももが張っててウエストで合わせると穿けないし、逆にお腹が出てるからとウエストで合わせると裾がダボダボの子もあります。スカートでも日本人なら問題ないのに、海外の国から日本に来た子だとスカートのひだが割れます(要はウエストとヒップ差が大きい)。
穿けないなら別寸で作りますが、穿けるサイズがあるなら規格から穿けるのを選んでいます。オートクチュール(仕立服)ではないですから。中学校制服の場合は下に短パンを穿くこともあって男女とも2サイズ上くらいを買う学校が多く、ダボダボに見えない程度の大きめを買うという制服ならではの独特な採寸基準があります。

学校や生徒家庭の理想では、男女問わず全ての子の体型と希望するフィット感に合わせたサイズ展開をして常に全サイズ潤沢に在庫を持ち、サイズオーダーの別注でも安く早く提供できるようにすることですね。
けれど無理です。それでは持続可能な経済活動ではないんですね。ある日在庫に埋もれた環境に悲観し心が折れ突然停止なんてせずに継続供給するためには、アイテムの在り方も考えていく必要があると思います。

で、この6月中に各学校さんにあいさつ回りしてきましたが、わざわざ③にせずに①②にした学校さんもとくに問題なかったという感じでした。
ただ今後の普及具合によってまた①→③や③→②に変わったりするかもしれませんので注視は必要ですが。
学校制服トップに君臨する3アパ(トップ3社のことで業界ではこう呼んでいます)であっても、今後の少子化と経済状況を考えると総売り上げ額が上がる見込みのプラスワンアイテムでなく、小ロットの学校専用アイテムを増やしすぎるのは良くない手だとは思いますけどね。
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