本文へ移動

ワンタッチ式ネクタイは分解すると元に戻せません

画像中央の円形の金具がワンタッチ式ネクタイの止め金具
学生制服に採用されるネクタイとリボンは、自ら結ぶ必要が無いようにゴム式やワンタッチ式(俗にパッチン式やクリップ式とも言われるとの事)が、広く採用されています。
結び目があらかじめ作られており、分解できないよう固定されたワンタッチで装着可能なこのネクタイは、朝の準備を効率化しスタイルを損なうことなく快適さを提供する便利なアイテムです。ただし、まれに結び目が分解する事例報告がありますので、注意喚起として想定される原因を掲載いたします。

ワンタッチ式の構造と分解の原因は?

ワンタッチ式ネクタイは上記のパーツで構成されています
ワンタッチ式ネクタイはワンタッチフック部分を生地で包み込み、 通常のネクタイの着用時と同じように上から結んで形にしております。最後に円形の止め金具を専用器具で取り付けて完成させています。

この止め金具は、うっかり爪を引っ掛けて(人力で)取れるような強度のパーツではありませんので、通常の使用範囲であれば分解することはまずあり得ません。ただ、例えば爪切りの先やマイナスドライバー等の固い工具を使えば、あるいはパーツに過度に負荷のかかるような着脱を繰り返すと分解してしまうことがあります。
当社にも数年に一回程度ですがワンタッチ式の分解報告があります。報告は毎回決まってネクタイで、リボンが分解したという報告は今のところ皆無です。
この理由について、取扱販売店からの報告やネクタイメーカーの話から大別すると
  1. 着用者が好奇心で分解してみた
  2. ワンタッチ(パッチン・クリップ)式が嫌で、自分で結びたかったから分解した
  3. 原因不明(ある日突然ほどけた等)
上記の3パターンです。もちろん製品不良や使用環境に耐えれなかったケースもあると思いますが、1.2.の故意のケースが多いようです。耐久ゴム式のケースは、見た目から分解しても自分で結ぶ用途で使えないのが明らかですが、ワンタッチ(パッチン・クリップ)式だと分解してクリップを取れば自分で結べそうな気がします。
しかしながら、現実は分解してみればわかるのですが、下の画像の通り使用には耐えません。

自分で結びたいからと分解しても使い物にならず、元にも戻せません

1.結び目に近い位置に、止め金具が貫通した穴が4か所ある
2.ワンタッチ式は首回りの部分の長さが必要ないので、通常のネクタイと比べて短くなっている
※青い通常のネクタイは長いので二つ折りにしています
ワンタッチ式は金具部分に巻き付けて形にしていますが、首回りの部分の長さが必要ないので短くなっており、止め金具の穴も開いているので他への転用は出来ません。『しかたがない』とあきらめて戻そうとしても、専用の取り付け器具が必要ですので自力では戻せず、購入した販売店に持ち込むことが多いそうです。
販売店には器具もノウハウも無く修理できないので、ネクタイ工場に出す以外に元に戻す方法がありません。
往復運賃を含む工賃と日数を考えると、翌日の着用には間に合わない。そもそも分解をしたのは自己責任なのでしかたなく買い直し、と言う流れです。
全てのネクタイメーカーの製品を分解しているわけではないので、画像とは異なる止め方をしている仕様もあるかもしれませんが、学校制服で広く採用されているメーカーのワンタッチ式はこの仕様です。

ワンタッチ式やゴム式の仕様は各学校の制服検討委員会で決められています

ネクタイの仕様については、制服業者が決めるのではなく各学校の制服検討委員会で決められており
  • 自分で結べるように指導するのも教育の一環 → 通常のネクタイ
  • 子どもたち全員がきれいに結べるわけではないから → ゴム式 or ワンタッチ式
  • ゴム式は使っていると伸びるからだらしないからダメ → ワンタッチ式
  • ワンタッチ式は第一ボタンまでとめる必要があるし無くしやすいからNG → ゴム式

採用に至る理由も様々です。
そしてワンタッチ式ならワンタッチ式のみと、多くの学校は大抵一つの仕様のみ採用しています。

ネクタイだけでなく制服や大抵の衣類は、布を糸で縫い合わせたり、止め金具のような付属品を取り付けることで出来ています。素材上、ご家庭用のハサミや器具を使えば、素人でも簡単に切ったり分解できたりすることができます。しかし元に戻すには専門の知識や器具が必要で、程度によっては二度と元には戻りません。
着方やメンテナンス次第でも寿命がかなり変わってしまいますのでご注意ください。
TOPへ戻る